このマシンの特徴としては、互換性を重視するために、実CPUを2系統、搭載されている事です。当時の一般的な手法であるウェイト挿入や、それ以後に一般的となったソフトウェアエミュレーションでは無く、旧来からの8086-CPU互換のNEC製V30-CPU(8/10MHz)に加え、上位拡張されて処理能力の向上した80286-CPU(8/10MHz)が搭載されています。更に、それぞれに、オプションで浮動小数点コプロセッサ「8087」や「80287」も搭載可能です。クロック切替えで、8/10MHzとあるのは、当時のハートウェア環境でのクロックタイミングは8MHz系(8の倍数系)が主流であったが、このマシンの時点で、CPUが10MHz系(10の倍数系)に2MHz分、高速化された為、差分のタイミングが違うと動作しない周辺機器やハードウェア、ソフトウェアを補うために、本体のスイッチでクロック周波数を切替える事により、両者の互換性を実現させたと言う訳です。因みに、当時のパソコンはCPU速度=FSB速度(もっとも当時はCPU速度倍率の考え方すらありません)であり、今でこそCPUやFSBのクロックは数100MHz単位で向上していますが、当時は数MHzでも大変貴重な性能向上でした。
私は、このマシンを入手した当時は、まだ、ハードディスクは、一般には普及していなかったため、フロッピーディスクのみで運用していました。その後、ハードディスクが普及し始め、拡張スロットに内臓できるタイプのハードディスクを入手しましたが、ドライブの回転不良で故障してしまいました。今でも役に立ちそうなデータで中身がいっぱい詰まっていたのですが、何だか運が悪いです。でも長年のハード的寿命ですから仕方ありません。ハードディスクから何時もと違うシーク音が聞えたり、時々、起動しなくなったりしたら、そろそろ寿命かも知れません。結局は定期的なバックアップが大切ですね。反省してます。
アマチュア無線のパケット通信の端末として、「MTERM」などを専用に動かしていた時期もありました。更にはBASIC言語で自作したRBBSのプログラムも良く実験したものでした。
「シムシティ」というゲームがありますが、登場当時、このゲームを動かしたいために、マウスとFM音源ボードを入手しました。そのマウスは今では6号機のPC98BXに接続されて有効活用されております。
そのうちに、内蔵の5インチフロッピーが下火になってきたので、ドライブベイ(と言うのかな?)に置換え内蔵形の3.5インチフロッピードライブユニットを収めていましたが、これも代換機に移植しました。
実は、私のこのマシン、数年前に誘導雷により故障してしまいました。ROM-BASICは起動するのですが、HDD、FDDからは起動しません。パソコン通信用のアナログモデムを接続していたので、そこから回りこんだのではないかと推測されます。そんなわけで、今となっては懐かしいROM-BASIC実験用マシンとして保存してあります。
さすがにこれだけ普及したPC98シリーズです。拡張には不自由しません。
近所の方からジャンク扱いで譲っていただきました。きちんと動作するか不安でしたが、確認の結果、見事、完動品でした。2号機のPC98VXから、キーボード、3.5インチFDDユニット、RAMボード、FM音源ボード、拡張RS-232Cボード、電源ケーブルなどを移植しました。CPUがシンプルになりましたが、実は、今、この原稿をこのマシンで打ちこんでいます。今時のマシンと比べると確かに動作が「カクカク」と気になりますが、テキストエディターと日本語入力FEPぐらいなら、何とか実用範囲です(苦笑)。htmlのタグを含めて、このマシンで完全WEB原稿を打てるのは、基本となる文字コードの汎用的な仕様の素晴らしさと共に、フロッピーディスクの互換性規格化や、インターネットの共通規格化の素晴らしさを実感できます。もっとも、画像や、音声、動画までは処理機能が追いつきません(笑)。
そんな訳で、時々、古いソフトウェアを引っ張り出してきては実行させて、懐かしがっています。今時フロッピーベースで現役な、超ロングランマシンです。