下総水田と展望台訪問道中記(総武本線・成田線・鹿島線・銚子電鉄)
2000年8月1日,早朝4時37分、前日に入手しておいたスーパーホリデーパスを自動改札に通す。国立駅に中央線上り初電201系電車が定時通り到着した。電車のほぼ中央付近に乗車し、車中、写真フィルムの準備をしたり、時刻表を見ながら、今日一日の行程を確認する。早朝であるが夏休み期間中とあって、都区内に入った頃から車内のほぼすべての座席が埋まる程の混雑度となった。
東京駅2番線に5時32分到着。すぐにエスカレーターを下り、中央口の通路から総武・横須賀線の地下ホームへと移動する。既に千葉駅まで乗車予定の東京駅始発5時42分の佐倉行き快速E215系電車が入線している。千葉寄り先頭車両のボックスシートを求めて前の方にホームを移動する。まもなく発車。案内放送を聞きながら、地下トンネル内を轟音と共に走行する。途中、馬喰町駅に停車する。ちなみにこの駅はJRの駅中、最も低い所にあるそうだ。やがて勾配を登り錦糸町駅の手前で地上に出てから、お茶の水方面行きの線路と合流する。総武本線はここから千葉駅までが複々線区間となる。まだ、早朝のため、反対側の緩行線のホームは静かで、列車密度も疎らである。荒川の長大な鉄橋を渡り、更に江戸川も越えると、いよいよ千葉県、市川駅に到着する。時々、その近辺の各駅で成田空港行きと思われるスーツ姿が数人、大型カバンを引いて乗車してくる。時々、ゆるいカーブで進行方向の朝陽が眩しく差し込んで来る。周りの景色が住宅地から、また、再び繁華街へと変わると、もう、千葉駅10番線到着6時21分となる。
千葉駅から乗車予定の成田駅経由の銚子駅行き電車は、同じく10番線から6時46分の発車となる。その間、改札通路の売店にて、まずは軽く朝食をとる。ついでに昼に備えて通路際のコンビニ店で買い物をする。10番線に戻ると既に列車は入線しており、空いている座席を求めてホームを行き来する。列車は通勤者や、海水浴の家族連れ、グループ客が目立つ。幸い、先頭車両がすいていたので早速ボックス席に陣取る。間もなく発車。左カーブを過ぎて西千葉駅に進入する。そろそろ、通勤時間帯真っ只中となり、上り下り共に、段々とホームが混んでくる。住宅地主体の中、時々森林が交じりながらの中を列車は進んで行く。佐倉駅に到着。この時間、もう上りホームは通勤客でいっぱいである。
佐倉駅を7時3分発車し、右に分岐する総武本線の単線線路を見送り、ここから成田線経由で銚子駅方面をめざす。この辺りからは、水田地帯が目の前に広がり、この時期は色具合から見ると稲が一通り成長し緑一色の中から黄色い穂がようやく生え揃ってきた処と見受けられる。再び市街地となり賑やかな成田駅に到着する。この駅の線路配置は見ていると興味深く、佐倉駅方面から複線で進入した後、各ホームに配線され、反対側の佐原駅方面では、まず我孫子方面行きが左方向に単線で分岐し、残りは複線かと思いきや、またそのうち右側の1線が成田空港方面に単線分岐して行く。ここからは3方面、単線てそれぞれ目的地を目指して行く。(尚、既に、我孫子駅方面へと、成田空港方面へは、乗車済みであるが、ここではその乗車記は省略させて頂く。)成田駅の一大ジャンクションが落ち着くと、また再び水田地帯や駅周辺に点在する住宅地の中を列車は進んで行く。途中の単線交換駅で何故か列車は上り線ホームに入線した。車内放送によると後続の特急列車の通過待ちとの事。線路配置に限りある単線区間でダイヤを組むための苦肉の策であろう。
佐原駅に8時2分到着した。ここで乗換え、一路、鹿島線方面へと向きを変える。今度の鹿島線は0番線に入線するとの構内放送を聞き跨線橋を渡る。8時15分発車予定である。戸籍上の鹿島線はもうひとつ先の香取駅で成田線と分岐するのであるが、地域の中心地である佐原駅まで乗り入れの形をとっているようだ。入線した折り返し鹿島神宮駅行きの列車からは高校生の団体が降りてくるが、乗客は地元の子供や家族連れで、さほど人数はいない。この辺りは今までの水田地帯から、一転、住宅地が続いたまま隣の香取駅に到着。ここから成田線と分岐し、住宅地の中を左にカーブするとその先にはすぐに水田地帯と、これから渡る利根川の鉄橋が見えてくる。利根川は川幅が広くゆったりと流れている。水田地帯、住宅地などを繰返し見ながら、列車は心地良い周期の短いレールのジョイント音を響かせている。そのうち北浦を渡る長い鉄橋を走り抜ける。地形的な理由からか、または、水路上の問題からだろうか、全線、ほぼ高架線上の線路を走り抜けて、いよいよ終点の鹿島神宮駅に8時37分到着。鹿島線完乗となる。すぐ反対側のホームには鹿島臨海鉄道の水戸駅方面行きの赤い気動車が乗換え客の乗降を待っている。こちらにも興味はあるのだが今日はここまで。鹿島線の列車折り返し9時3分発まで車内で食事時間とする。鹿島臨海鉄道からの地元の乗換え客が、サッカー試合の話題で持ち切りであった。帰りは運転手さんに前方の撮影許可をもらい、走行中に最前列の客席から数枚、写真撮影をする。
香取駅に9時20分に戻り、再び9時37分発の成田線で銚子駅を目指す。香取駅での列車待ち合わせ中に、鹿島線の0キロポストの確認や、この駅が鹿島線分岐駅であるのに無人駅であること、駅舎兼待合室に有蓋貨車を改造流用している事などに気付く事ができた。ちなみに0キロポストと貨車駅舎の設置場所が離れているのだがどのような基準なのかは不明。ホームの番線表示も無くどのような経緯かは判断ができない。昔はこの位置にきちんと駅長室があったのかも知れない。香取駅を出発してから幾つかの駅を見ていて気付いたのだが、この辺りの駅では単線から対向式ホームへの進入箇所に両分岐ポイントを用いている。その為、駅での停発車時に必ず横揺れが発生してしまう。これを何処かの駅で見掛けたように片分岐ポイントを用い直線側を進入速度の高い到着線側に用いれば揺れが少なくなると思う。充分敷地に余裕はあると思うがどうしたものか。この区間は高速通過列車の設定が無いからなのか。香取駅の件と合わせて単なる趣味人の余計なお世話であるが、ふと不思議に思う。話しは脱線してしまったが、本物の列車は全く順調に本線線路上を進む。段々と水田地帯が畑作地帯に変わって行き、右側からの総武本線の単線線路が並走するようになると10時14分松岸駅に到着である。松岸駅到着時点で成田線全線完乗となった。
引き続きもう1駅そのまま乗車して次の銚子駅に10時18分到着する。跨線橋を渡り一旦改札を出て駅前を散歩する。広い駅前広場から振返ると赤い屋根の大きい駅舎が目に入る。広場脇の階段を腰掛け替わりに休憩をとる。吹いてくる風が港街らしく湿っぽく感じる。
駅舎まで戻り次に乗車する銚子電鉄の乗車券を買おうとするが、貼り紙に一日往復乗車券とある。値段も丁度終点までの往復と同じ額¥620である。これは都合が良いと良く見ると車内のみで販売とある。改札を入りJR線のホームの端を間借りしているような銚子電鉄のホームに行くと可愛い風車小屋の形をした建物が改札兼待合室となっている。既に電車が入線しておりワンマン運転の運転手兼車掌さんに一日乗車券を発券してもらう。電車の写真を撮りたいから次に来た電車に乗る旨を伝えてしばらくすると一両編成のその電車はなんともいい難いが可愛くゆっくりと発車して行った。ほぼ真上からの日照りの中、ホームや待合室を散策する。次の電車が到着すると、こちらには、これまた可愛いトロッコ車両の両端を一両づつの電車がプッシュプルで連結されていた。しかし、この列車は一番後ろの車両以外は客扱いはしないとの事。前2両は回送扱いなのだろう。仕方なく一番後ろの車両に乗り込む。いよいよ発車だ。駅構内を外れると、電車は住宅地や畑の中を釣掛け式モーターの音を唸らせながらのんぴりと走って行く。冷房装置は無いが日照りは沿線の木々に遮られ風が窓から舞込んでくる。隣の仲ノ町駅では車両基地がり、ここで前方2両のトロッコ車両と先頭の牽引電車が解結された。しばらく進むと一日乗車券の案内欄にも書いてあるように「笠上黒生」駅という難読駅名。地元の2つの町の名前を併記させた名前のようだ。ここで単線での列車交換を行なう。畑や林を抜け、こじんまりとした、しかも、いかにも海に面した土地柄にちなんだ独特な駅名の各駅にひとつずつ、ひとつずつ停車しながら地元の人が乗り降りして行く。途中の犬吠駅駅舎だけは、近くにある地球の丸く見える丘展望台や犬吠崎灯台等の観光中心地の最寄り駅であるため、特に洋風の洒落た造りとなっている。往路はそのまま一旦終点の外川駅まで通して乗車する事にした。終点に着くと、外川駅は住宅地の片隅にこれまた、こじんまりとした容姿で建っており隣の犬吠駅とは対象的である。銚子外川港がここから近いそうだ。しばらく駅前を散歩してから、次の電車で折り返す。復路は犬吠駅で下車する事にした。綺麗に飾られた駅前には、かってはこの線路で活躍したであろう車両が喫茶店の客室として駅前広場で休んでいた。さて、地球の丸く見える展望台のある丘をめざして歩く。途中、近くにある郵政省通信総合研究所犬吠崎観測所で特別一般公開を開催している事を知り見学させてもらう。船舶関係の通信業務が人工衛星に取って変わってからは、長波標準電波の受信観測を主に行なっているとの事であった。程近く頂上に到着。地球展望台からは、まさに地平線が丸く見え、更に付近の海岸線や街並みを高台から見下ろす事ができた。多少モヤがかかっているので眺望は今一つなのが残念。犬吠駅に戻り銚子電鉄名物の「ぬれ煎餅」をお土産に買った後、再び電車に乗る。帰りの仲ノ町駅では風向きが変ったのか近くの醤油工場からの独特な香いが伝わっててくる。銚子駅に無事到着。ゆっくりのんびりした「銚電」の旅を楽しむ事ができた。
しばらくホームのベンチで休憩をとった後、入線してきた総武本線の千葉駅行き15時9分発に乗車する。来るときに通った単線線路を折り返すと松岸駅である。松岸駅の先で並走していた成田線の単線線路と総武本線の単線線路が分岐し、これからは分岐左側の総武本線を走行する。水田地帯や畑作地、駅周辺の住宅地が繰返し現れる。この辺りはどの駅も大体構造が似ており相対式ホームに跨線橋、待合室兼駅舎といった容姿である。成東駅辺りを過ぎてからは段々と市街地が目立つようになり八街駅辺りで、いよいよもう都市圏に入ってしまったなと感じる。車窓からの看板に総武線複線化スピードアップを陳情するスローガンが書かれている。佐倉駅手前で成田線の複線線路と合流しホームへと進入する。時間や地理的な理由によりこの辺りから駅毎に段々と千葉駅方面行きの乗客が増えて行く。周りはもう市街地一色である。無事千葉駅9番線に16時58分到着する。
ここから御茶ノ水駅までは緩行線に乗り、総武本線全線完乗の予定である。休憩の後、1番線ホームに三鷹駅行きの各駅停車201系電車が入線していたので乗り込む。2番線の先発電車をやり過ごしてから発車となった。朝、快速線で走ってきた道のりを今度は各駅停車で辿る。市街地や駅前の繁華街の繰り返しで一見単調に見える区間を、疲れ紛れ半分に一つ一つ駅名を暗唱し覚えるようにしながら走る。それでも色々な駅毎の性格があるんだなぁと当たり前ながらも改めて考えながら錦糸町駅に到着。ここから御茶ノ水駅まで総武線の支線区間。この区間も各駅毎に特徴のある建物や墨田川鉄橋、問屋街、電器街などの街並みが忙しくも車窓から見える。昌平橋を越えて御茶ノ水駅に無事到着。総武線も完乗を果たす事ができた。ここから隣のホームに入線してきた中央線快速201系電車に乗換え、自宅までの帰途についた。
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