中央東線岡谷駅の0番線から、8時8分発車の辰野駅経由松本駅行き列車に乗車する。この0番線は、中央本線下り方面ホームの塩尻駅方にある乗り換え階段を潜って出てきてから、振り返った方向に、一寸、分かり難い位置にある、何だか、隅に追いやられたような、こじんまりとしたホームである。既に115系長野色の列車が入線している。この編成車両は、岡谷駅方に「クモハ115」、松本駅方に「クモハ114」の2両編成である。クモハ同士の2両編成と言えば、南武線浜川崎支線を思い出す。車内は地元の人たちで疎らである。定時発車してから構内の線路配線を器用に辿り、左手方向に進路を変える。程なく右手にみどり湖駅経由の新線を分岐し、左方向に岡谷駅付近の高架線を単線で地上へと降りて行く。ここから旧線の辰野駅経由、塩尻駅方面へは、新線のトンネルが開通した今から見れば、随分と回り道をしているが、当時はこの経路しかなかった訳で、のんびりと、旧線の旅を満喫したいものだ。列車は民家の軒先のような脇を抜け、次第に、山間の住宅地や水田地帯へと入ってゆく。川岸駅を経て次第に山際が迫り、辰野駅に到着。左手ホームにJR東海飯田線の313系ステンレス車両を見ながら構内へと入線する。8時19分。構内は何本もの側線が通っているが、閑散としている。地元の人たちの大半がここで入れ替わる乗換駅である。これまでとは一変、飯田線からの乗り換え客で車内は賑やかになり、8時22分発車。大きく山間を右方向にくねるように進路を変えながら、塩尻駅方面へと向かう。小野駅に到着すると、反対側の上りホームに、ここにしか走っていない1両編成のクモハ123系電車が列車交換を待っていた。発車してトンネルをくぐり抜けると塩尻の街が開けてくる。右手から次第に、みどり湖駅経由の新線が寄り沿ってきて、8時42分塩尻駅到着。乗っている列車は、そのまま篠ノ井線へと直通運転となる。不思議な事に、篠ノ井線側に直通運転する列車はあっても、中央東西線間で直通する列車はない。
塩尻駅からの車内は地元の人たちで満員。8時43分に発車する。住宅地や工場の並ぶ中を、若干の乗客の入れ替えを伴いながら、南松本駅の貨物側線にタキ(タンク貨車)編成やEH200電気機関車を見ながら、9時00分、松本駅到着となった。松本駅からは、9時33分発車の天竜峡駅発長野駅行き普通列車みすず号に乗車する。それまでは松本駅構内散歩とし、駅構内の車両撮影などを楽しむ。鉄道ファンとしてはJR東日本とJR東海の車両が一度に見られるのが何とも楽しい。駅構内では、地元の人たちや、お盆の旅行者と、随分すれ違う。さて発車時間間近になり、出発ホームには、ステンレス車体にオレンジ色帯の313系電車3両編成が入線してきた。車内は座席がすべて埋まっており、立ち客もかなりいる。定時発車。発車して暫くは大糸線の単線線路と併走、一見、複線区間と見間違う。大糸線のみ駅がある北松本駅を脇に見て通過すると、程なく大糸線は左に分かれてゆく。そのうち広大な奈良井川河川敷と平行する。篠ノ井線は次駅の田沢駅と明科駅間のみが複線区間となり、その区間で383系特急ワイドビューしなの6号とすれ違う。明科駅を過ぎると長大なトンネル区間となる。最近の列車ダイヤでは、すべての列車が停車するようになった冠着駅を経て姥捨駅へ。親切なことに駅到着前の車内放送で、「日本三大車窓のひとつ」との説明があり、最後の締めに「広大な車窓をお楽しみください」とあった。なかなか気が利いている車掌さんである。鉄道ファンにとっては、スイッチバックで有名な姨捨駅へ入線する。前回来た時は、篠ノ井駅方面からの来訪だったので、今回は、逆の松本駅方向からと洒落込んでみた。この駅の線路配置も興味処である。しかし、善光寺平は、前回来た時と同様、若干、モヤっていた。スイッチバックを抜け、信号所を通過し、稲荷山駅で街が開けてきてから暫く走ると、篠ノ井駅到着である。
篠ノ井駅から更に列車は直通運転であるが、線路戸籍上は、ここから先は信越本線である。10時32分、篠ノ井駅を発車し、市街地の中を、長野新幹線の高架橋と並走しながら、10時45分、長野駅到着である。長野駅からは、11時31分発の直江津駅行きに乗車予定なので、それまでは、食事と駅構内散歩とする。長野駅構内は意外とこじんまりとしているが、車両は、しなの鉄道から直通運転の車両や、飯山線直通運転のキハ110系(ディーゼルカー)も乗り入れて来ており、多彩である。11時31分発車の直江津駅行き列車が入線してきた。この地域では、もうお馴染みの115系白地に薄青帯の長野色3両編成である。車内は座席が、ほぼ満員である。定時発車。市街地を走り、駅名の珍しい三才駅を通り、豊野駅で飯山線を分岐する。更に次の牟礼駅で乗客の大半が下車していった。段々と山間部に入り、妙高高原駅を経て、関山駅辺りから再び視界が開けてきて、田畑が広がってくる。二本木駅もスイッチバック駅で、発車時に一時、進行方向が反転する。同じ日に二度もスイッチバック駅を通ってしまった。遠方に見える山並みを望みながら、広大な、緑色一面の田畑の中を、列車は快調に進む。この辺りの駅は、架線柱の間隔から、どの駅にも側線設備があったようだが、現在は廃止され、単線設備となっているようだ。春日山駅では駅前がきれいに整備され、駅前に上越市春日信玄交流館なるものが見える。左側から北陸本線の線路が見えてきて、次第に合流すると、13時丁度、ダイヤより若干遅れて、直江津駅到着である。到着ホームに入線時、ホームを挟んで同時到着の、北陸本線下り、はくたか11号と、しばし並走する。無事、直江津駅に到着した。
直江津駅からは、北陸本線糸魚川駅まで乗車予定の、富山駅行き13時18分の発車まで構内散歩とする。この駅は、島式ホームが3本の、ゆったりした駅構内である。信越本線の直流電化と、北陸本線の交流電化のセクションがどうなっているのか、気にかかる処である。昔、客車時代の夜行急行能登号に乗車したことがあるが、確かその時は、北陸本線区間は、交直両用のEF81電気機関車が牽引しており、信越本線長野駅方面へは、この直江津駅で、EF62直流電気機関車に付け替えていた記憶がある。当時は信越本線の横川軽井沢間が健在で、流通の大動脈を担っていたのであるが、現在では、ほくほく線が開通して、上越線経由が主流となっているようだ。さて、そろそろ出発時間である。ホームには既に北陸本線475系交直両用電車白地に青ラインの3両編成が入線していた。車両の前後2扉でデッキ付きセミクロスシートであり、設備的に、なかなか贅沢な車両である。車内は地元客で座席がほぼ一杯である。13時18分定時発車。車内案内放送で「JR西日本にご乗車ありがとうございます」の言葉に、「JR東日本」で普段、耳慣れた身としては、道中、遠くまで来たんだなぁと感じる。トンネルをくぐると次第に車窓には日本海が見えてくる。波は穏やかな様子だ。海を見ながら次の、谷浜駅に到着する。もう少し海を見ていたい処であるが、突如として、長いトンネル区間となる。この辺りは、駅付近を除いては長いトンネル区間となり、地形の制限と共に、トンネル開通工事の苦労がしのばれる。中でも特徴的なのが筒石駅。トンネルの中に駅がある形である。下車はしなかったものの、興味ある駅である。しかし、トンネル区間以外ならば、ほぼ、日本海を望むことができるので、ご安心あれ。途中、ローマ字表記がズバリ「NO」!!な能生駅では、後から来る、はくたか10号との通過待ち合わせを行う為に、暫く停車する。浦本駅からは地上を走る。そうして、13時59分、糸魚川駅に無事到着となる。
糸魚川駅では、まず目に付くのが、ホームから側線の向こう側に見える、立派な赤レンガでできた機関庫である。その脇で大糸線キハ(ディーゼルカー)がエンジンをふかして、行き来しながら整備を行っている。大糸線の出発時間は14時55分、南小谷駅行きの発車までは、随分と時間があるので、ご多分に漏れず駅構内散歩とする。構内は相対式ホーム1本の1番線と、島式ホーム1本の2番線と3番線からなり、その間に側線が1本通っている。島式ホームの富山駅方の一部は欠きとられ、行き止まり式の大糸線専用の発着ホームが4番線となっており、ホーム間には木造の跨線橋が跨いでいる。ホームの反対側には数本の側線があり、その側線の一部を、先程の赤レンガ造りの立派な機関庫が覆っている。なかなか広大な構内である。また、1番線には、地元名物のヒスイの原石が説明展示してあり、なかなか興味ある駅構内となっている。各ホームの屋根からは、懐かしい、吊り下げ式の乗車表示板が下げられている。一通り見て回った後、もうじき発車時間なので、大糸線専用ホームに行ってみる。先ほどまで側線で整備を行っていたキハが、入れ替えをしながら本線上4番線に入線してきたのが14時37分。キハ52横須賀色ディーゼルカー1両編成である。2番線にも、ほぼ同時入線の、北陸本線下り普通列車と一瞬、並んだ。旧型な車両であるが、強力なエンジンを2基も積んであり、いかにも大糸線らしい車両である。車内は青春18切符利用の鉄道ファンであろう人たちで、セミクロスシートの客席は、ほぼ一杯である。定時発車。発車時のショックがまったくなく、非常にスムーズな発車である。街を抜け、山間の水田地帯を抜けると、段々に山岳部に入ってゆく。整備の甲斐あってか、エンジン音は快調で、勾配をどんどん登ってゆく。山岳部になってくると、小刻みに姫川を鉄橋で渡り返したり、長いトンネルやシェルターの中を通るようになる。随分と過酷な線路状況である。過去に何度も土砂崩れの影響で不通になったのもうなづける。さぞ保線作業が大変であろうと思う。途中の駅でハイカー達が多数乗車してきて、1両編成の車内は、立ち客も出て超満員である。トンネルの間に姫川第三ダムが見えてから暫く進むと中土駅。続いて15時55分、南小谷駅に無事到着する。キハ52、お疲れさま。南小谷駅からは、16時9分発車の信濃大町駅行きに乗車する。既に島式ホーム反対側に127系電車3両編成が入線している。今まで1両満員分の乗客が3両分に分散したため、ほぼ全員が着席できる位の余裕が出てきた。更に反対側の相対式ホームには115系長野色3両編成が留置されており、山間の駅構内は、なかなか賑やかである。この駅もJR東日本とJR西日本の接続駅である。自分の住んでいる沿線の、中央東線特急あずさ号が、この駅まで乗り入れている事もあり、初めて来たのであるが、何だか親しみを感じる。127系も定時発車。途中の白馬駅でも数人のハイカー達が乗車してくる。本日は通過扱いであるが冬季のみ臨時停車駅のヤナバスキー場前駅付近の青木湖や、稲尾駅付近の木崎湖では、水面が波打っていて涼しげだ。段々と山間から街が開けてくる。街中や水田地帯の向こう側には安曇野の山並みと白い雲と真っ青な空が見え、コントラストが気持ち好い。信濃大町駅に17時6分到着となる。更に、ここからは、17時9分発車の、中央本線富士見駅まで直通運転の、115系長野色3両編成電車に乗り換える。これまたホーム反対側に入線済み。しかし、この駅、立山アルペンルートの起点基地で、多数の観光客も一緒に乗車してくる。しかし、既に115系電車の車内は一杯で、立ち客が多数である。こちらも定時発車。段々と日没していくと共に、水田の稲穂や山々、空の色が変化してゆく。豊科駅付近で地元の人たちが下車し、車内は幾らか空いてくる。島内駅を過ぎて暫く走ると、左側にヒョッコリと、今朝、通った篠ノ井線の単線線路が現われてくる。しばし併走。大糸線側のみの北松本駅を経てから、18時11分、松本駅に無事到着する。無事、大周りして松本駅に戻ってくることができた。
松本駅で大半の乗客が入れ替わり、直通列車は、18時12分発車。一路、中央本線富士見駅を目指す。塩尻駅辺りで大半の乗客が下車する。みどり湖駅手前付近の高架線から、薄暗くなった街並みを見下ろす。これまた長いトンネルを抜け、岡谷駅、下諏訪駅、上諏訪駅と、徐々に地元の乗客が下車してゆく。充分暗がりとなった19時8分、無事、富士見駅に到着した。ここからは、後続列車の19時35分、甲府駅行き、もうお馴染みの115系長野色3両編成に乗車し、順次、帰途に付いた。